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自衛隊パイロットの民間での活用制度(割愛制度)が復活します ~自衛隊員の若返りとエアラインのパイロットニーズが合致~

さる3月16日に、国土交通省からあるプレスリリースが行われました↓


------------(国交省HPから抜粋)------------
自衛隊操縦士の民間における活用(割愛)の再開について
                                   平成26年3月14日

 平成21年9月、自衛隊操縦士の民間における活用(割愛)について、公務員の再就職を府省庁があっせんすることについて禁止されたことを受け、そのあり方等を慎重に検討するとともに、その間、自粛してきました。

 自衛隊操縦士の民間における活用(割愛)については、国土交通省交通政策審議会航空分科会基本政策部会及び技術・安全部会の下に設置された乗員政策等検討合同小委員会の中間とりまとめにおける「自衛隊操縦士の民間における活用(割愛)について、自衛隊操縦士を必要とする航空会社のニーズを勘案し、直ちに再開することが望ましい」との提言があるとともに、民間航空業界等からの要望もあるところです。
 今般、自衛隊操縦士の無秩序な流失を防止し、適正な年齢構成を確保しつつ、自衛隊操縦士を民間航空業界等で有効活用することは、我が国民間航空業界の発展という観点からも意義があることから、公務の中立性・公正性をより確保することに留意しつつ、自衛隊操縦士の民間における活用(割愛)を再開することとしました。
--------------(抜粋終了)--------------

 つまりは、自衛隊のパイロットを民間のエアラインや使用事業で再雇用する制度が復活します。
 この制度の復活の背景は、以下の新聞記事に詳細が説明されています。


--------------(記事抜粋)--------------
自衛隊パイロット、民間に 今春にも 人材活用、若返りへ
                                 2014.1.18 09:59 

 民間航空会社のパイロット不足を補う目的で、自衛隊パイロットの“転職”を促す制度(割愛制度)を、政府が今春にも再開する方針を固めたことが17日、分かった。 
 
 公務員の天下り問題を受け、防衛省は平成21年秋から同制度を自粛していたが、格安航空会社(LCC)の就航増などで、民間航空会社ではパイロット不足が深刻化しつつある。航空需要の拡大に対応するとともに、給与が高い中高年パイロットを再就職させ、防衛費の4割を占める人件費を抑制する狙いだ。

 民間への転出対象者は、陸・海・空の各自衛隊で戦闘機や輸送機など操縦資格を持つ40歳前後のパイロットとなるもよう。民間航空会社のほか、地方自治体で導入が増えている緊急医療用のドクターヘリのパイロットの採用も想定する。

 民間航空会社の要望に応じて、退役前の自衛隊パイロットの転身を促す割愛制度は、昭和37年に開始。多い時で年間約40人、近年でも同10人程度のパイロットを供給していた。ただ、民主党政権が平成21年に省庁による国家公務員の再就職斡旋(あっせん)を禁止する方針を打ち出した。防衛省は「天下りには当たらない」としつつも、制度の運用を自粛していた。
 中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定するなど、東アジア情勢の緊張が高まるなかで、防衛費は今後も膨らむ可能性がある。一方、自衛隊の人件費は防衛費全体の42%(25年度)を占める。国の財政状況が厳しい中で、効率的な人件費のあり方が課題だった。

 自衛隊員の平均年齢は36歳と、欧米の軍隊(平均30歳程度)に比べて高く、年齢構成の見直しも求められている。割愛制度の再開で、部隊の最前線から退いたパイロットの早期退職を進め、人件費を圧縮するとともに、自衛官の若返りを図る。

 昨年12月に閣議決定した中期防衛力整備計画(中期防)では、26~30年度までの5年間で、装備品の調達改革による7千億円程度の財源確保を盛り込んだ。

 防衛省は今後、60歳定年制の対象となる音楽隊や警務などについても、退職時期の見直しを進める考えだ。
--------------(抜粋終了)--------------

 つまりは、
① エアラインやヘリコプターの使用事業会社では、将来的にパイロットが不足することが予測されている。
② 防衛省は、年齢層の高い隊員(人件費の高い隊員)を削減して、人件費を圧縮したい。
 という、両者の利害が一致したことにより、自衛隊パイロットの民間での活用制度が復活したということです。
 
 アメリカなどでは、こうした、元軍人のパイロットがエアラインで飛行したり、民間の救急ヘリコプターのパイロットになったりという事は珍しくありません。
 ハドソン川の奇跡の立役者であるサレンバーガー機長も、元々は軍隊のパイロットでした。
 
 自衛隊のパイロットは、基本的に年齢が上がるほど、飛行配置が少なくなります。 培った飛行技術を生かせるこの制度は、意義があるのではないでしょうか。
 
 国土交通省のプレスリリースには『自衛隊操縦士の無秩序な流失を防止し、適正な年齢構成を確保しつつ、自衛隊操縦士を民間航空業界等で有効活用する』という文言があります。
 これは、以前、当ブログで紹介した紳士協定を指しているものと思います。

防衛省人事局長
 元自衛官が民間航空事業者の操縦要員(将来の要員を含む)に応募した場合の対応について、自衛隊操縦士が無秩序に民間航空事業者に流出することを防止するとともに、自衛隊操縦士を民間航空事業において有効に活用するため、国土交通省において、下記のように民間航空事業者を指導されるよう申し入れる。
1.定期運送事業者は、●●以降に自衛隊を退職する自衛官については、同人が自衛隊を退職した後2年間を経過するほか、民間活用対象年齢(当面は満37歳)に達するまでは、原則として採用しないものとする。
2.民間航空事業者は、退職後2年以内の元自衛官については、原則として採用しないものとする。

 
 空の安全のためにも、様々なソースのパイロットが活躍できる環境が望ましいと思います。

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自衛隊出身パイロットの採用についての紳士協定



 元自衛隊パイロットが航空会社を受験する際に「退職から2年経たないと入社できない/試験を受けられない」という話は、現役時代からよく聞いていました。
 そうした内容が書かれた「紳士協定」と呼ばれる文書の存在は知っていましたが、本物を見た事がありませんでした。
 今回、その文書を見つけることができましたので、自衛隊パイロットを辞めて民間パイロットに転身を考えている方々のために紹介しておこうと思います。

 これによりますと、「割愛(航空会社への転身の正式ルート)」は35才以上が対象者となります。また、どんな状況でも定期的に採用は行うように調整されています。

 また、「依願退職しての民間パイロット」は退職してから2年間以上経過し、かつ37歳以上であること」となっています。
 実態としては「2年間」という部分のみが守られていることが多いです。(一部航空会社では37歳基準も守っています。)

 「民間航空会社からの引き抜きを防止するための協定」といったものでしょうか。

 何とも複雑です。

海上自衛隊のパイロットを目指すには。


(タイダウン(船とヘリをつなぐ鎖)を外して、間もなく発艦です。)

(掃海輸送ヘリコプター MH-53Eの発艦の瞬間です。発艦はヘリの醍醐味ですね。)

このブログはエアラインパイロットを目指す方向けに作っていますが、今日は番外編という事で・・・・・ 海上自衛隊のパイロットについて紹介したいと思います。

海上自衛隊のパイロットを目指すためには、以下の4つの方法があります。

①高校卒業~20才までなら、『海上自衛隊航空学生』になる。
 パイロットは『技術職』です。やはり若いうちから、その道に入っておくことは、大成する時期も早まりますので有利です。
 航空学生には「航空自衛隊」と「海上自衛隊」の2種類があります。倍率的には『海上』の方が低いですし、実機による適正検査もありませんので、なり易いと言えるのではないでしょうか。
 運が良ければ、退職するまでの数十年間のうち、わずか数年しか地上に降りずに、パイロットを続ける事も可能です。(30人に1人ぐらいの確率ですが。)
 少数機種である救難飛行艇US-1A,US-2。海上自衛隊唯一のジェット機U-36のパイロットになるためには、航空学生にならなければ、まず無理です。
 自衛隊パイロットの醍醐味を味わうのであれば、航空学生になる事がおススメです。
②『一般幹部候補生 飛行幹部 採用』を狙う。
 大学を卒業した後に自衛隊に入る制度が「一般幹部候補生課程」です。その中で、自衛隊の航空身体検査に合格することを条件に「飛行幹部枠(パイロット枠)」での採用も存在します。
 途中の課程で体(特に視力)を壊さなければ、まず間違いなくパイロットコースに進む事ができます。
 ただし、この「大学出」のパイロットはあくまで「管理職」としてのパイロット採用であるため、飛行経験は航空学生パイロットの1/2~1/4しか積む事ができません。本当の意味で「パイロット」を志向するのであれば、矛盾を感じるようになるかもしれません。

③『防衛大学校』を目指す。
 防衛大学校は卒業後に一般幹部候補生と一緒に、幹部候補生学校に入学し、幹部(昔で言う「士官」です。)になるためのコースです。
 防衛大学校の場合「パイロットコース」というものは存在しませんので、確実にパイロットを目指すのであれば、航空要員(航空自衛隊に進むコース)に入る方が良いでしょう。逆に海上自衛隊のコースに入ると、パイロットになれる確率は下がってしまいます。
 また、パイロットになったとして、その後のパイロット生活は、一般幹部候補生飛行幹部採用と同じく、航空学生の数分の1の飛行経験しか積む事はできません。
 「パイロット」を志向するのであれば、30才前後に、そういった経歴管理と自分の希望との間で葛藤するかもしれません。

④「一般幹部候補生」でパイロットを目指す。
 一般幹部候補生の飛行幹部採用でなくても、一般幹部候補生からパイロットを目指す事は可能です。
 ただし、「一般幹部候補生のパイロット枠」「防衛大学校卒業者のパイロット枠」を合計して、なおパイロット候補者が不足する場合に、やっと枠に入る事ができるようになるため、可能性は低くなります。しかし、可能性は十分にあります。
 そのためには、やはり、航空身体検査基準を上回る体のコンディションが必要です。

 以上が、海上自衛隊のパイロットになるためのコースになります。


パイロットになるための地図 その3 ~自衛隊パイロットからエアラインを目指す~



今日は自衛隊パイロットからエアラインを目指す方法について考えてみます。
まずは自衛隊パイロットになるための方法について説明します。

【自衛隊のパイロットになる方法】
①航空・海上自衛隊航空学生になる。(20才11ヶ月まで)
高校を卒業時か、大学の早い学年までなら受験が可能です。航空大学校の試験と比べると難易度は低いです。
若いうちから飛行訓練が開始されますので、25~6才の時点では、かなりの飛行時間を持つことができます。
ただし、自分が希望するコース(海上:飛行機/ヘリコプター,航空:戦闘機/輸送機/偵察機/ヘリコプター)に進めるかどうかは「運」次第となります。

②一般幹部候補生の飛行幹部候補生(24才11ヶ月まで)
航空・海上の一般幹部候補生(一般大学から自衛隊を受験するコース)の募集では、「航空身体検査」の科目が追加された「飛行幹部候補生」の募集区分があります。
この「飛行幹部候補生」コースに入る事ができれば、途中で体を壊さない限り、パイロットコースに進む事ができます。
やはり、自分が希望するコース(海上:飛行機/ヘリコプター,航空:戦闘機/輸送機/偵察機/ヘリコプター)に進めるかどうかは「運」次第となります。

③防衛大学校に入学する。(20才11ヶ月まで)
防衛大学校の学生を経て、パイロットを目指します。ただし、防衛大学校の学生の場合、「パイロット採用」という概念が無いため、どの要員にまわるかは、蓋を開けてみないと分からない所があります。パイロットを目指していたが、結局、潜水艦に・・・なんて事もあり得ます。

【自衛隊パイロットからエアラインパイロットを目指す方法】
自衛隊パイロットからエアラインに入るには、2つの方法があります。
①自衛隊の割愛制度を使う。
自衛隊と航空会社との間では、「割愛制度」という協定が結ばれており、毎年、ある程度の人数の自衛隊パイロットを民間航空会社に放出しています。これは、民間航空会社の創生期に、多くの自衛隊パイロットが民間航空会社に引き抜かれたため、自衛隊が困ったという経緯から誕生したものです。
年齢的は40歳ぐらいで、階級は1尉~3佐ぐらいの方、かつ、ほぼ航空学生出身者のみが対象です。エアラインに行けるのは、年間、5~6名でしょうか。
「割愛」を希望することはできますが、その枠に入れるかどうかは、ほとんどが「運」ということになります。もちろん、ヘリコプターパイロットが「割愛」でエアラインに行くことはできません。割愛でエアラインに行けるのは固定翼パイロットのみです。

②自衛隊を依願退職して、エアラインを目指す。
自衛隊を依願退職してから、必要な資格を取得してエアラインを目指す事も可能です。
自衛隊では固定翼訓練課程において「事業用操縦士・多発限定」を取得することができます。(航空自衛隊では一部が留学課程に入ります。この場合、事業用免許はとれません。
よって、残る「計器飛行証明」を自力取得しなければなりません。この場合、ほとんどの方が、海外留学をせずに国内の訓練校で計器飛行証明を取得しています。
一方、ヘリコプターパイロットの場合、固定翼の免許を全て自力で一から取得しなければなりません。よって、ほとんどの方がアメリカ等での航空留学を経て、国内訓練に移行します。

【自衛隊パイロットからエアラインを目指す障壁】
まずは、国費を使って養成されている事を考えると、始めから「早々に辞める」つもりで入隊する事はモラル的に許されないでしょう。機長としてミッションに従事し、十分に後輩を育ててから、自分の道を考えるのが良いと思います。

①元自衛隊パイロットの採用を自粛する「協定」の存在
さて、自衛隊パイロットがエアラインパイロットを目指すにあたり、障害となるのが防衛省と民間航空会社の間で結ばれている「協定」です。
明文化されたものを見た事が無いのですが、『依願退職した自衛隊パイロットは2年間はエアラインに採用してはならない』という取り決めがあるようです。この関係で免許を取得してから、すぐに入社できないため、受験の時期を調整することが難しい場合があります。
また、この「協定」が「退職後5年間、年齢35才以上」に強化される動きがあると噂できいたことがあります。この辺りにも注意する必要があるでしょう。

②依願退職の難しさ
普通の会社と違って、自衛隊員は「労働法」の適用を受けません。よって、自己都合の退職は基本的に「できない」ことになっています。
「エアラインに行きたいので・・・」という理由で、辞表が受理される可能性は0%です。

今日はここまでにしたいと思います。ご意見・ご感想をお待ちしております。

パイロットになるための地図 その2 ~社会人からパイロットを目指す~



今日は自社養成について考えようと思っていたのですが、JEXの記事を読んだ関係で「社会人からパイロットを目指すコース」について考えてみようと思います。

社会人からパイロットを目指す場合は、年齢によって選択肢が変わってきます。

①社会人から航空大学校を目指す。(~24才11ヶ月)
 航空大学校は24才代まで受験が可能です。私の周りにも社会人になってからも航空大学校を受験した人間がいました。大学を卒業しても多い人で2年間はチャンスがあることになります。航空大学校以降の進み方については、先日のブログで説明したとおりです。

②自衛隊幹部候補生(飛行幹部)を目指す。(~24才11ヶ月)
 自衛隊の幹部候補生学校(航空・海上)も24才代まで受験が可能です。航空・海上自衛隊の幹部候補生の試験では「一般枠」と「飛行幹部枠」の2つが設定されています。「飛行幹部枠」で受験する場合は、試験で自衛隊の航空身体検査が行われます。この飛行幹部枠で採用された場合は、ほぼ確実にパイロットコースに進むことができます。また「一般枠」でもパイロットコースに入る事は可能です。しかし本人の希望は、ほとんど考慮されませんので、パイロットになれる確率はかなり低いです。
 自衛隊のパイロットになってから、エアラインのパイロットを目指す方法については、後日、アップしたいと思います。

③大学の操縦学科を目指す。(年齢制限なし。20才台中盤までが望ましいのでは)
 昨今、設立が相次いでいる大学の操縦学科も選択肢の一つです。気をつけなければならないのは、「事業用操縦士」「多発限定」「計器飛行証明」の3つをとらせてくれる課程を大学が準備しているかどうかです。
 私の調べた限り、一部大学では「事業用操縦士」だけしか技能証明を取得できない大学も存在します。そのような大学に行くのは時間とお金の無駄です。必ず計器飛行証明までを扱っている学校に行かねばなりません。
 「東海大学」ではANA本体への採用の道があるようです。成績次第では、本体への就職も夢ではありませんので活用する価値はあるでしょう。
 気になる学費ですが、パンフレットの価格だけを見ると、「海外留学・自費免許取得」とほとんど変わらない価格となっています。しかし、どういった飛行時間で想定した学費なのかが不透明ですので、時間あたりの単価を大学に確認して、正確な学費を見積もる必要があるでしょう。おそらく、相当額、学費が上がると思います。
 実際に大学を卒業した方で、情報をお持ちの方は、ぜひ教えてください。
 また、欠点としては4年間という時間です。自費取得の場合は、早ければ2年で免許の取得が可能です。既に大学卒業資格を得ているのであれば、時間的にはデメリットが多いと思います。

④海外留学・国内訓練校でパイロットを目指す。(年齢制限なし。)
 特に年齢制限はありません。主にアメリカで自家用・多発・事業用・計器飛行証明を取得してから、日本の国内訓練校で技能証明取得を目指します。
 実際に、社会人からパイロットを目指している方は、このパターンが一番多いのではないでしょうか。
 ポイントになるのは、信頼できる海外訓練校を選ぶこと。そして、国内訓練では就職実績の高い学校を選ぶことであると思います。

⑤大手子会社の自社養成課程を受験する。(~最大30才)
 大手子会社の自社養成は、年齢制限内であれば受験は可能です。ただし、自社養成の中で一番、年齢制限が緩和されていたJ-AIRは昨今のJAL再建の関係で、募集をしていません。
 ANA子会社が再編されて誕生する、新子会社の動向に注目しておきたいと思います。
 御意見などございましたら、ぜひコメントお願いします。







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